アメリカで遺産相続手続き もしもの時の為に知っておこう
アメリカに住んでいて、仮に日本の家族や親せきに不幸があったとき、日本で行う必要のある遺産相続手続きは、どのように進めたらいいのでしょうか。
私は今までに、遺産分割協議書にサインをする必要が数度ありました。
幸い管轄の総領事館からそんなに遠くないところに住んでいるため、予約をしてちょっと遠くまで行く必要がありましたが、まだ恵まれているほうだと思います。在外公館が遠い方は、本当にたいへんですよね。
在外公館が遠方にある場合
アメリカは広いので、ご自分の管轄の在外公館には数時間ドライブ、とか、泊りがけじゃなきゃ行けない!なんて方もいますよね。。。
日本国内の不動産登記に必要な署名証明については、一定の条件を満たせば、アメリカの公証人が作成したものでも認められるそうです。
下記ご参考まで。
外国に居住しているため印鑑証明書を取得することができない場合の取扱いについて
そして、今年5月27日から、「在留証明」のみ、電子化した証明書(e-証明書)の交付を受けることができるようになりました。
ご自分の管轄の在外公館によっては、オンラインで請求できる場合もありますので、ぜひ調べてみてください。
また、もちろん提出先が、このe-証明書を有効な在留証明として受理してくれるかも合わせてご確認ください。
証明のオンライン申請・決済について
遺産分割協議書に必要なもの
何が必要なの?
基本的にはアメリカ在住の方であれば必要になるものは同じではないかと思います。
私の場合、必要となったのは署名証明と在留証明です。
署名(および拇印)証明
日本での印鑑証明に代わる書類です。
本人の署名(および拇印)であるのに間違いないことを証明します。
アメリカ在住の場合だと、在外公館の人の前で署名、または拇印をします。
そして、在外公館が発行するサイン証明をつけてもらいます。
発行してもらう前に、必ず日本の提出先に下記確認してください。
• 提出理由
• 提出先
• 貼付型または単独型のどちらが必要か
在留証明
外国のどこに住所(生活の本拠)を有しているかを証明するものです。
こちらも領事館に行く前に、必ず日本の提出先に下記確認してください。
- 提出理由
- 提出先
- 本籍の記載が必要か
- 申請書の「上記の場所に住所(又は居所)を定めた年月日」の記載の有無(居住期間の証明)が必要か (*証明対象となる過去の住所から、現在の住所までのそれぞれの居住開始年月、申請当事者氏名、住所が記載されている書類(米国の運転免許証、家の契約書、公共料金の明細等)が必要になります。)
上記は、例えば20年以上前に家を買って、現在もその家に住んでいるのであれば、売買した時の書類を出せば大丈夫って思うじゃないですか?
でも違うんです。
この期間中ずっと住んでいたということを証明するために、水道料金や銀行のステートメントなど、現在の住所が載っていてしかも自分の名前が載っている資料を出さなければいけません。
継続的に住んでいるということを証明するために、例えば六ヵ月ごと等の書類が必要になります。
でも、水道代やガス代などの請求書は、宛先がご主人になっている方とか多いのではないでしょうか?
何にも該当する書類がないよ!という方は、在外公館の人に相談してみてください。受け付けてくれるなんらかの書類を提案してくれるはずです。
また、本籍を記載するためには、戸籍謄本や抄本のような書類が必要になってきます、こちらはコピーでも、古いものでも可、と言われました。
確認しよう!
とっても大事
遺産相続の手続きは、通常 司法書士事務所や、相続執行人、税理士の方を通して行うケースが多いと思います。
いくらプロの方と言っても、相続人が海外在住であるケースはそう多くないと思います。
そのため、必要書類に詳しくいない方がいる場合も。
海外在住者の場合、必要書類をそろえるのに、手間もお金もかかります。
せっかくたいへんな思いをして取得したのに、届け出先に受理してもらえなかった!
なんてことがないように十分に注意しましょう。(日本に郵送するのもトラッキングができるFedExなど使用することをお勧めします。高いんですけどね。)
一番大切なのは、受け取り側が必要としている書類、記載内容を確認してから書類取得の手続きを始めることです。
分からないことがあれば、在外公館にも、あわせて相談してみてください。
番外編 遺産分割協議書と相続放棄の違いって?
遺産分割協議書と相続放棄の違いって?
相続放棄ってよく聞きますよね。
ドラマとかで、相続放棄を迫られる、とか。
遺産分割協議で相続しないっていうのと、相続放棄って何がちがうんでしょうか。
- 遺産分割協議書=「相続しない」と意思表示
- 相続放棄=「はじめから相続人ではなかった」扱いにしてもらう手続
遺産分割協議書
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分割方法を決定する書類です。
遺産分割協議で「相続しない」と決めても、相続放棄をしたことにはならないんです。
自分の取り分のない遺産分割協議書に署名捺印すると、正式に遺産を相続しないことが確定します。
相続放棄
いっぽう、相続放棄は、相続人が一切の相続財産を放棄する手続きです。
一切の相続財産、ということは、相続放棄すると借金などの負債を相続せずに済みますね。
でも、この手続きは、家庭裁判所に申述する必要があります。
さらに期限があり、原則として、相続開始を知った日から3ヶ月以内にしないといけません。
また、他の相続人と連絡を取る必要はなく単独で手続きもできてしまいます。他の相続人と一切連絡を取ることなく一人で手続きできるメリットもありますね。
基本的に、どちらか一方を選びます。
相続放棄をする場合は、遺産分割協議に参加しないように注意しましょう。
まとめ
悲しい思いをしている時に、今までやったことのない事務手続きをするのは、本当にたいへんだと思います。
人の死は、どんなにその現実が近いと分かっている時でさえ、心の準備ができることではありませんよね。
私は、必要な書類や、申込書の記入方法など、総領事館の方にとても親切に教えて頂きました。
もし何かわからないことがあったら、管轄の在外公館にぜひ問い合わせてみてください。
最近は在外公館での手続きには、予約をする必要があるところが多いと思います。
もし、急に何かの書類が必要になったのだけれども、予約の空がない!なんて場合には、ぜひ直接連絡を取ってみてください。緊急であれば、どこかに時間を空けてくれるはずです。
また、次回日本に行く機会があって、滞在先の近くに役所があれば、戸籍謄本をとっておくのもいいかもしれません。
在留証明に本籍の記載が必要な際には必要になります。